• テキストサイズ

燦姫婢女回顧【R18】

第2章 蛍離宮


「服?ドブネズミに着せる様な服なんてないよ。」

(ひどい!)

「じゃ、じゃあさっきまで着てた服は?」

「あんなドロだらけの服着る気かい?カンベンしてよ、そこらじゅうドロだらけになっちまう。」

「……洗って着ます!おばあちゃんが作ってくれた大事な服なんです!」

「へーばあさんが?道理で地味だと思ったわ。やめてやめて、地味な格好でウロウロしないでよ、気が滅入るから。

それよりおマタもキレイに洗ったんでしょうねえ。」

姫様は意地悪そうに笑うと手にした杯をグィッと煽った。


(……!…態度といい、言葉遣いといいこれでも妃様なのかしら!)

「あーやだったら辞めちゃっていーよ。ネコ、去年のコよりもったよね。」

ネコはコクリと頷いた。

「そうそう去年のコは迎えに行く前に帰っちゃったんだよ、辛坊ないねえ〜あはははは!」


私はぐっと拳を握りしめた。

(ここで辞めちゃったら負けた様な気がする。こんなヒトに負けたくない!それに辞めたら預かり金は返さないといけない。やっとおばあちゃんの持病の薬が買えるのに、ダメだ辞めちゃ。)


「じゃ、じゃあせめて下着だけでもっ!」

「あーもう、チューチューチューチューと五月蝿いドブネズミだね!ネコ、黙らせて。」


既に用意してたのかネコさんは私の背後から手慣れた手つきで「猿グツワ」をかけた。

(………!…)

あまりに早業だったので抵抗出来なかった。


「あとそのみっともない手も何とかしてやって。」


私は無意識に両手で恥ずかしいトコロを覆っていた。
ネコさんにやんわりと両手首を掴まれ、背中に回されると絹紐で縛られてしまった。

「それでよし。ドブネズミはおとなしくしてな。まどろっこしいから「ネズ」でいいか。これからあなたの名前は「ネズ」だ。」

(ええ〜)
猿グツワを掛けているので反論出来ない。

「ネコに、ネズ!これは傑作傑作!」

姫様はコロコロと笑った。




「失礼します。」

その時、厨房の女官がやって来た。

「燦姫様、お食事でございます。」


その女官は裸で縛られた私の姿を見て一瞬目の色が変わったが、すぐに目を逸らし何事もなかったかの様に出て行った。
/ 99ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp