第13章 ニ通の手紙
「やっぱり私も行けば良かった。」
ナンと五王様が軍を率いて出ていった後宮で私は居ても立っても居られなかった。
「ネズが行っても足手まといになるだけだよ。あの二人ならちゃんと麗姫たちの企みを暴いて沙良も助けてくれるさ。」
(姫様の言う通りだ。信じて待とう。)
「だいぶ遅いよ。少しでも寝ておきな。」
燦姫様に促されて私は婢女部屋の寝台に横になった。
―――――人の気配がした。
「誰?」と言おうとした瞬間、布で口を塞がれた。
裏庭に出る戸口から入ってきた男たちに、あっという間に手足を荒縄で縛られ、担ぎ上げられた。
口を塞いだ布も頭の後ろで縛られ、声も出せない。
男たちは担いだ私を何処かに連れて行こうとしている。燦姫様も仮眠をとっているのだろう。気がついてくれない。
(助けて―――――――ナン…………)