第11章 床役
麗姫様は桔梗の花も引き抜いて部屋中にパアッとばら撒いた。
目で促されて、従者たちが退室していった。
あたしは麗姫様の絹の履物を履いた足で再び仰向けに転がされた。
「今度は自分で脚を拡げるんだよ!」
麗姫様の血走った目に圧倒されて私は言う通りにした、
「そうだ、閉じたら承知しないからね!」
「おーおー、お前さんのご主人は怖いねえ……」
三王様は着物の前をはだき、でっぷりとしたお腹の下から自分のモノを引き出して扱き始めた。
その様子を麗姫様は冷たく蔑んだ目で見下ろしている。
「10代で未通女じゃないと「出来ない」ってんだから何人妃を増やしたって世継ぎが生まれるワケはないさ!まったく世話が焼けるよ!」
「煩い!勃つもんも勃たなくなるだろうが!
おい!おまえ、喚くんじゃねえぞ。」
と言って三王様は床に落ちていたリンゴの芯を拾ってあたしの口に咥えさせた。
そして無言であたしにのしかかって来た。
恐怖に目をぎゅっと閉じる。
次の瞬間、痛みが脳天を突き抜けた。
(……!)
あたしはリンゴの芯を噛んで耐えた。
永遠に続くかと思った苦痛の時間が終わり、三王様はでんと寝台に仰向けになった。
「フー‥‥かったるい……‥」
鞭を手にじっと待っていた麗姫様がパンパンと手を叩いた。
従者たちが再び現れて「筵」を広げた。
その上にあたしは転がされ、くるくると「簀巻き」にされた。
「絶対に落とすんじゃないよ!丁寧に運びな!」
持ち上げられ何処かへ運ばれているのが分かった。
やがて馬のいななきと蹄の音が聞こえたので「荷馬車」に載せられたと知る。
しばらくして再び筵が持ち上げられたと思うと、ゴロンと冷たい床に転がされた。
ここ「岩牢」の中だった。
バサッ……
粗末な着物が被せられた。
「おい!おまえ、新入りに着せてやれ!」
ゆらゆらと小さな影が近寄ってきた。
「梅花!」
あたしは思わず声に出してしまった。
すかさず従者の持つ鞭で叩かれた。
「ここでは余計な口を利かせぬよう麗姫様から言い遣っている。」
ボロボロにやつれた梅花の手であたしは着物を着せられた。
「おとなしくしていれば何てことはない。」
従者は木戸を開け、ガチャリと施錠して出ていった。
「………沙良。」
梅花は消え入りそうな声で囁いた。