第6章 夏至祭
銅鑼の音が響いた。
千人近くの観衆の中、一糸纏わぬ姿にされた茅乃は今にも崩れ落ちんばかりに顔をぐちゃぐちゃにして泣きはらしている。
祭祀役に押さえつけられているので、その手で恥部を隠すことも出来ない。
「仙女殿、そう怖がらないで。まあ酒でも。」
と五王様は櫓を凝視している私の手にお酒を満たした盃を載せた。
「『夏至の女王』は豊作と国の繁栄の為にこれから太陽王に純潔を捧げるんだ。」
「……平たく言えばあそこで脚おっ拡げて皆の前で破瓜されんだよ。」
姫様が割って入った。
「姉上〜もう少し言い方ってものが………」
「はっきり教えてやった方がいいだろ。」
(破瓜…………)
初めて聞く言葉だが何となく分かった。
私は五王様からいただいたお酒をぐいと飲み干した。
櫓の上では次の段階に入っていた。
茅乃は泣きじゃくっていたが容赦なく両腕を引っ張られ木の床の上に引き倒された。
四つん這いになった茅乃の左右に先端が輪になった細縄を携えた巫女が跪く。
垂れ下がっている両の乳房に手早く細縄の輪が掛けられた。
小柄な割に茅乃は豊かな乳房をしていた。
細縄が左右に引かれて「キュウ」と音がしそうなくらいに括られた乳房が絞め上げられる。
痛みに茅乃は悲鳴を上げる。
「まだまだこれからだってのにあのくらいで騒ぐとはねえ。」
姫様は残酷に笑う。
(ひどい!)
乳房の縄はそのまま引っ張り上げられ、茅乃は上体を起こされた。
バタつかせている両手脚をそれぞれ4人の祭祀役が担ぎ上げ、遂に玉座に据えられた。
乳房の縄を使って上半身は玉座に縛りつけられた。両手は背もたれの後ろで縛られている。
両脚は高々と持ち上げられ、朱い靴を脱がされると玉座の肘掛けに載せられ細縄で固定される。いや肘掛けではなくあれは脚台だったのだ。
(どうりで変な形だと思ってた……)
茅乃がバタバタ暴れるので、祭祀役たちは「作業」に手間取っていた。何とか玉座に括り付けられてからも茅乃は逃れようとカラダを動かすので玉座はガタガタと揺れる。
「だから教えなきゃ良かったのに。」
姫様は盃を空けながらため息をついた。
「あのままでは危ないな。」
五王様は不安気だ。
観衆もザワつき始めた。
すると一人の巫女が何やら液体の入った「吸口」を持って櫓に上がってきた。