第5章 蛍の化身
両の脇の下を掴まれ、私はゆるゆると立ち上がらせられた、
「脚は…開いたままそのままで。仙女殿、どうかこの蛍に御身を任せて。」
前に回り込んでいた彼は、跪いて私を見上げた。
これまでに見たことのないほど丹精な顔。
肩まで伸びた髪は、無造作に見えるが艶良く手入れが行き届いている。
優美だががっしりとした両腕が私の腰を捉えていた。身なりもこざっぱりと品がある。
いつの間にか桜桃ほどに膨れ上がっていた私の「種子」に顔を近づけると、悪戯っぽく舌を出しその先端でチロチロと舐め始めた。
「ひやっ……あッ……」
はしたない声が漏れた。
彼はそれに構わず舌先での刺激を続ける。
「仙女殿、私にももっと甘い露を吸わせて。」
ダラダラと露が両足の太腿を伝って地に落ちているのが分かる。
「いやぁぁぁ…………」
拡げた脚の間から下腹部に向かって熱いモノが上がってきた。
(何?つま先が浮き上がりそう!)
彼は腰を掴んだ腕に力を込めた。
「仙女殿、未だ昇天するには早すぎる。今しばらく辛抱を。」
舌先が一瞬離れると、今度は形の良い唇が私の桜桃を食んだ。
「…………!!」
私は声にならない声を上げた。
キュウキュウと音がしそうなほど吸い上げられ…………そのうち目の前にキラキラと閃光が走ったと思ったら視界が白濁した。
踏ん張って立っていた脚に力が入らなくなる。
気がついたら私は彼の腕の中にいた。
汗ばんで顔に張り付いた髪を優しく取り除けられていた。
「なんと淫らな仙女殿だ。
―――雨の匂いがして来た。月の出ているうち早くお帰り。」
そっと腕が解かれる。
まだフラフラしていたが何とか自分を保つ。
「蛍めはこれで去ります。仙女殿にご満足いただけたかどうか………」
彼はそう言うとフワリと清廉な香の薫りを残して裏庭の奥に暗がりに吸い込まれていった。
(本当に蛍の化身だったの?!)
そう私に思わせるほどに美しい男性(ひと)だった。
無数に飛んでいた蛍たちはいなくなり、月もかげり暗闇の中、ポツリと雨粒が火照ったカラダに落ちてきた。
私は小走りで裏口から婢女部屋に戻った。
土のついた足と………トロトロになっているアソコを布で拭き取り私は寝台に倒れ込んだ。