第5章 蛍の化身
「――――今宵の様に美しい月夜には仙女が降りてくるという伝説は真(まこと)だったな。」
掴んだ手の主はいつの間にか私の背中にぴったりと身体を合わせ、蕩ける様な声で囁いてきた。清廉な香が薫った。
「怖がらないで美しい仙女殿。私はただの『蛍の化身』……」
『蛍の化身』と名乗る人の脚は私の左膝に絡まされていて、パックリ開いた脚が閉じられない。
知らない人にカラダを抑えこまれているのに何故だか恐怖は感じなかった。
甘い言葉と共に耳たぶや首筋に吹き掛けられる吐息が何とも言えなく心地良かった。
「……お独りでお愉しみでしたね、仙女殿。
―――――蛍めが、お手伝いして差し上げよう。」
「種子」の上の人差し指を掴まれるとクックッとリズミカルに圧をかけながら円を描く様に動かされる。
ゾクッとした感覚を再び感じた後、腰の辺りがじんわりと熱くなってきた。
「………んあっ……」
思わず変な声が出てしまって恥ずかしくて私は俯く。
「声を我慢しなくともよい。ここにいるのは私と仙女殿だけだ。」
「ここも可愛がってやると良い。」
右手が下腹部を滑り上げ、胸の膨らみに当てられた。
重ねられた二つの手の平でやわやわと揉みしだかれる。すぐに胸の先端は充血して赤みを増した。
コプコプ音を立てて蕾からは露が溢れ出して止まらない。
その時一匹の蛍が剥き出しになった私の種子の先端に止まった。
「ひゃっ……」
細やかな刺激に身を攀じる私。
「動かないで仙女殿。もう一匹蛍が甘い露に惹かれてやって来た。」
蛍の灯りが私の恥ずかしいところを全部照らし出していた。
「……なんと美しい。」
化身の手が私の蕾へと伸びた。
「くちゅん」と湿った音がした。
「仙女殿の聖なる秘所だ。欲望のままここを侵しては天罰が下るな。」
いつの間にか種子に止まった蛍は飛び去り、彼の手も蕾から離れた。
「さあ、仙女殿。仕上げをして差し上げようか。」