第3章 cute aggression
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正直、私はもう疲れきっていた。私の行動範囲はどんどん狭くなっていくばかりだったから。最初のうちは感覚が麻痺してしまって、それがひどいことだとは気づかなかった。「みんなそうだから」という言葉を信じきってしまった。そのせいで、それが当然のことだと思い込んで、その時にはほとんど洗脳されてたんだと思う。
「最近彼氏とはどう?」
バイト先の先輩に聞かれたから全てを話した。女友達とも遊びに行くなだとか、スマホを定期的にチェックしてきたり、男性の曲を聴くなとか。数え切れないから一部を話した。
「バイトもそのうち辞めさせられるかもしれないです」
バイトに関してよく思っていないみたいだったから、時間の問題なのかなって感じてた。
「それ異常だよ。よく別れないね」
「そうなんですか?みんなそうだって言われたんですけどね……」
「そんな事ないよ。ほんと、いつか殺されないか心配」
そこではじめて、彼の束縛は度が過ぎていることを知った。なんだか複雑な気持ち。
「さすがに殺されないですよ」
笑って言ったけど、有り得なくもないなと思ってしまう。そう考えたら急に怖くなってきた。彼と居たら危ないんじゃないかって。
「澪ちゃんもいい子すぎるよ。嫌だって思ったことはちゃんと言わないと」
たしかに、私は今まで彼に反論したことがなかった。ちょっとおかしいと思ってもそれが普通だからって言われて、私の方がおかしいんだって折れてしまう。
「今度からちゃんと言ってみます」
言えるか分からないけど、このままだとだめなきがする。私も彼も変わらないといけない。