第3章 cute aggression
「俺さ、聞いたんだよね。澪がバ先で男と楽しそうに喋ってたって話」
「は…………?」
何回目か分からないお家デート。ソファーに腰かけてゲームをしていた時、そんなことを口に出した。
「そいつのこと好きになった?」
頭が追いつかない。そんな話をされて私はパニックに陥る1歩手前だ。碧は私が異性と接触することを嫌ってた。それは知ってたけど、どうしても避けられないときだってあるわけで。
「そんなわけないでしょ。ちょっと暇になったから話してただけなの」
「…………俺以外の男なんか全員死ねばいいのに」
一段と低い声でそう言った。そんなことを言う彼が怖くなった。最近はこんなのばっかりだ。私も慣れてきてしまってそれが束縛だとか重いとか分からなくなってきてしまっている。
「何言ってんの笑さすがに冗談でしょ?」
「ううん。ねえ澪?もうバイトなんかしなくていいよ」
「そういうわけには、いかないんだけど」
私の家はあまり裕福ではない。ギリギリ大学に通えるくらいだ。それ以外にかかるお金は自分で稼がないといけない。
「じゃあ早く結婚しよ?澪はずっと家に居ればいい。俺が養ってあげるから」
「だめだよそんなの」
「やっぱなんもわかってないよね。澪は」
途端に身体がふわっと浮く感覚がした。お姫様抱っこされていることに気づいた。これはだめな流れ。わかっているのに抵抗できない。