第3章 cute aggression
「澪みてるとさ、キュートアグレッション起こしそうになる」
「なにそれ?」
「好きすぎて澪のこと痛めつけたくなっちゃうの」
最近打ち明けられた、私に対する気持ち。付き合い始めてから時間が経つにつれ、私に抱く感情はどんどん歪んでいっていると、自分でも言い出すようになる始末。
彼の愛が重たいことには薄々気づいていたけど、正直ここまでとは思いもしなかった。
「さすがに嘘でしょ?」
「嘘じゃない。俺は本気だよ」
そのまっすぐな目は嘘をついているとは思えなかった。
「不安なんだよ。澪が先に卒業して、大学にいい人がいたら。澪は絶対そいつを選ぶでしょ?」
「そんなわけないでしょ。私には碧だけだよ」
私の彼氏霧島碧はひとつ年下。先に卒業する私がなにかしでかすんじゃないか不安で仕方がないらしい。そんなの、私だって一緒なのに。
「ほんとに信じていいの?」
「もちろん」
「……………その言葉忘れんなよ」
全身が凍りつくような感覚。怖くてたまらなくなってしまう。私は思わず息を飲んだ。
「先に言っとくけど代償はでかいからね」
「………そっか」
「そんときは何するかわかんないよ。俺」
彼は私から視線を外して、冷たく言い放つ。私は本当にこの人に殺されるのかもしれないと本気で思った。