第2章 王子様の秘密
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「相手して。今日だけでいいから」
「今日だけ………?」
「そう。もしダメって言うなら澪ちゃんの友達、レイプしちゃうかも」
その笑みが、ただただ怖い。冗談を言っているとは思えなかった。
「それは、だめ…………」
「そうだよね?だから、抱かせてよ」
これは、あの子を守るため。仕方の無いこと。抱かれるくらいどうって事ない。
「わかった。その代わり、あの子には手出さないで」
「いいよ約束する」
満足そうに霧島は笑った。
「それじゃホテル行こっか」
「ホテルって高校生入れるの?あと私お金もってない」
「心配しないで。管理人と顔見知りだから」
謎が深まるばかり。どうしてそんな人と知り合いなのか。そこまでして女を抱きたいのか。私には分からない。
***
なんともそういうオーラが漂っている建物に着いた。優しく手を引かれて、ホテルに足を踏み入れてしまった。
「俺だけど。いつもの部屋の鍵ちょーだい」
すっと、鍵が渡される。いわゆる顔パス。ほんとに知り合いなんだなと思った。
部屋に着くと、手際よく鍵を開けてドアが開いた。
「入っていいよ」
そう言われて、私は恐る恐る部屋に入ってしまった。間接照明のぼんやりとした妖艶な空気がたちこめている。
すると、カチッと鍵の閉まる音が聞こえた。
霧島の方はどすんっとベットに腰掛けて。私はというと立ち尽くしたまま。足がくすんで動かない。
「澪ちゃんもこっちおいで?」
「……………………」
声も出ない。怖くて、これから何をするのか目を伏せたくて。身体も石みたいに固まって動かない。