第2章 王子様の秘密
「………日誌、出してくるから」
そのまま帰れるようにカバンも持って、私は教室を飛び出した。
「あーあ。ほんっとおもしろい」
彼がそんなことを言っているとは知らずに。
***
唯一、俺に歯向かう女だと思う。興味を持ってる自分がいることに間違いは無い。
落としてやりたいなとか思ったりして。
女はちょろい。直ぐにコロッと落ちるからつまらなかった。だけどあいつはそんなことなくて。
素を見たからって、あんな態度とられるとは思わなかった。普通の女なら『ギャップ萌え♡』で終わるのに、あいつはとことん俺の事を嫌ってる。
初めてだった。こんなの。次の獲物は澪ちゃんに決定かな。
「俺もそろそろ行こ」
カバンを持って教室を出る。職員室に向かった彼女の後を追うために。
「いた」
「何。早く帰ってよ」
「俺も日直だもん。一緒に出しに行く」
分かりやすく呆れた顔をするんだこいつは。
「ふたりともおつかれさま。気をつけて帰ってね」
「ありがとうございます。」
無事に、日直日誌も担任に届けて職員室を後にする。
玄関までは無言のまま。俺の方を見向きもしない。
「澪ちゃん、さっきの言葉覚えてる?」
「なんにも覚えてない」
「責任取ってよ。俺ムラムラして死にそう」
分かりやすく顔を赤らめる澪ちゃん。でも直ぐに嫌そうな顔をする。
「絶対やだ。私帰るから」
スタスタ俺の前を歩き出す。何がなんでも逃がしてやらない。
「抱かせてよ澪ちゃん」
「絶対無理!」
「気持ちいいこと、興味あるでしょ?」