第2章 王子様の秘密
気まずい。さっきから近距離で視線を感じるから少し恥ずかしくなってくる。
目線だけ動かして彼の方を見ると、やっぱりこちらを見つめていて。普通なら甘い雰囲気になる所だけど私は騙されない。
「澪ちゃんってさ」
沈黙を破ったのは霧島の方だった。それに、なんで私のこと名前で呼ぶのよ………。
「な、なに」
「処女でしょ。ましてやキスだってした事ないんじゃない?」
「は?」
否定は出来ないけどさ。いきなり何なのこいつ。
「やっぱり図星だ」
そうですよ。図星ですよ。誰も私になんて興味無いんだもん。
「マジでうるさい。霧島なんて嫌い。抱けたら誰でもいいんでしょ」
「んー。まあそうだね。女ってさ、ちょっと優しくしたらその気になるわけ。ほんとちょろい」
ああ、今の録音しておけばよかった。明日にでもばらまいてやるのに。
「私の前では猫被んなくていいの」
「まあ、見られちゃった以上しょうがないし。今更遅いっしょ」
「はぁ………」
なんか遠回しに『お前には欲情しない』って言われてるみたいで腹が立つ。
「澪ちゃん、いつもの王子様キャラの方が好きなの?」
「別に?そういう訳じゃないけど…………んっ」
一瞬の出来事だった。霧島が少し身を乗り出してて、私の唇には柔らかい何かが当たってる。
「ごめん。キスしちゃった」
「なにして………」
まじで最低。初めてだって事わかっててキスしてきた。ファーストキスがこんな形で奪われるなんて。
「仕方ないじゃん。誰かさんに邪魔されたせいでムラムラしてんだからさ」
「知らないしそんなの」
「責任取ってよ」
顔を見てらんなくて、思わず逸らした。