• テキストサイズ

愛執染着

第2章 王子様の秘密


気まずい。さっきから近距離で視線を感じるから少し恥ずかしくなってくる。

目線だけ動かして彼の方を見ると、やっぱりこちらを見つめていて。普通なら甘い雰囲気になる所だけど私は騙されない。

「澪ちゃんってさ」

沈黙を破ったのは霧島の方だった。それに、なんで私のこと名前で呼ぶのよ………。

「な、なに」

「処女でしょ。ましてやキスだってした事ないんじゃない?」

「は?」

否定は出来ないけどさ。いきなり何なのこいつ。

「やっぱり図星だ」

そうですよ。図星ですよ。誰も私になんて興味無いんだもん。

「マジでうるさい。霧島なんて嫌い。抱けたら誰でもいいんでしょ」

「んー。まあそうだね。女ってさ、ちょっと優しくしたらその気になるわけ。ほんとちょろい」

ああ、今の録音しておけばよかった。明日にでもばらまいてやるのに。

「私の前では猫被んなくていいの」

「まあ、見られちゃった以上しょうがないし。今更遅いっしょ」

「はぁ………」

なんか遠回しに『お前には欲情しない』って言われてるみたいで腹が立つ。

「澪ちゃん、いつもの王子様キャラの方が好きなの?」

「別に?そういう訳じゃないけど…………んっ」

一瞬の出来事だった。霧島が少し身を乗り出してて、私の唇には柔らかい何かが当たってる。

「ごめん。キスしちゃった」

「なにして………」

まじで最低。初めてだって事わかっててキスしてきた。ファーストキスがこんな形で奪われるなんて。

「仕方ないじゃん。誰かさんに邪魔されたせいでムラムラしてんだからさ」

「知らないしそんなの」

「責任取ってよ」

顔を見てらんなくて、思わず逸らした。
/ 70ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp