第2章 王子様の秘密
(遅くなっちゃった……………。日誌書いてないのに)
委員会の集まりがあったせいで、日誌も書けないまま日が暮れてしまった。
もうあいつは帰っただろう。 さっさと書き終えて私も帰ろう。
思いっきり教室のドアを開けたらそこには、見てられない光景が広がっていた。女子の制服のリボンに手をかけて、なんとも卑猥な行為に踏み込んでいる霧島がいた。
「は…………?」
「だ、だれ」
「…………………」
女の子は私に反応したものの、霧島は黙ったまま。
「私帰る!」
そういって勢いよく飛び出して言った彼女を呼び止める訳もなく霧島は目で追うだけ。
「あーあ帰っちゃった。誰かさんのせいで」
「あんたがこんなとこでするのがいけないんでしょ」
自分の席にどすんと座って、机の中にしまっておいた日誌を取り出した。書くページを開くとやっぱり真っ白。
「日誌書いてなかったの」
「そう。だから戻ってきたの」
前の席の椅子を借りて、わたしと向かい合わせに座ってきた。距離はかなり近くて、気が散る。
「別に、帰ってもいいよ。私書いとくから」
「そういう訳にはいかないんだよね。俺も日直だから」
矛盾ばっかりだこんなの。
「そんなこと言うなら先に書いてて欲しかったんだけど」
「待ってたんだよアンタのこと」
「は?」
「そしたらさっきの奴が来てさ。待ってる間だけ遊んでやろーと思ったわけ」
やっぱこいつ………
「ほんと最低だわ。なんでこんな奴が人気なの。不思議でならないんだけど」
「そりゃどうも」
褒めてないしと内心思いつつ、私は日誌を書き進めていく。