第1章 生意気殺し屋と溺愛殺人鬼
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「澪ちゃんは僕とするセックスすき?」
「すきじゃない。」
「言うと思った。ていうか澪ちゃんって僕の名前全然呼ばないよね。ねえちょっとだけでいいから碧くんって言ってよ」
「ばかじゃないの。」
何度目か分からない彼との性行為を終え今はベットの上、後ろから抱きしめられている。彼からは少しの血の匂いと甘い香り。まあこんなのもう珍しくはないんだけど。
「ねえ、こっち向いてよ。」
「むり。体痛い。」
「あんなに気持ちよくなって喘いでたくせに。」
「うるさい。」
そんなとこも可愛いんだけどねと彼は言った。本当にいい加減にして欲しい。誰のせいでこうなったと思ってるの?分かってるくせにとぼけた顔して。
「ねえ、」
「んー?なあに?」
ずっと気になっていることがあった。今聞くタイミングなのかは分からないけれど。
「なんで人をころすようになったの?」
誰しも必ず動機がある。彼だって例外では無いはずなのだ。今では連続殺人鬼として何人もの人から追われてる。そしてゆっくりと口を開いた。
「僕もね君と同じだよ。」
「え?」
「まあ、何でも屋みたいな?依頼者の気に入らないやつとか殺してあげてたの。被害者のことちゃんと調べてないのかな。全員いじめっ子とかパワハラ上司とかだったのに。」
最近は殺人の依頼が多いらしい。
「でもさあ、日に日に楽しいなって思うようになっちゃったんだよねえ。前までは死ぬほど嫌だったけど今は嫌じゃない。」
私も最初はそうだったと思った。でもこれが生きる術。この仕事に生きがいを感じている。本当に人って怖いなあ。
「僕達もうとっくに堕ちてるんだよ。」