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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第3章 セイロウ島




◇◆◇


 翌日昼過ぎ。ローが目を覚ますと、見知らぬ全裸の女が二人、抱きついていた。

(いつの間に……)

 結局昨夜はマルガリータのあと、消化不良だろうともう二人が順番に来て、夜明け近くまで寝させてもらえなかった。

「頭痛ぇ……」

 大酒飲んで最後はやけになってた気がするが、記憶はあいまいだ。
 絡みついてくる女を押しのけてシャワーに行こうとすると、狸寝入りだったらしい女に手を掴まれ、豊満な胸へと誘導された。

「やめろ」
「あん。船長さんったらつれない……」
「……やめねぇならオペして貧乳にするぞ」
「!? いやこれ商売道具だから……っ」

 慌てて飛び退いた隙にさっさとベッドを下りてバスルームへ向かう。
 もうひとりの女はベネッタで、大いびきをかきながら完全に爆睡していた。こっちはただ単にベッドを間違えた可能性が高い。でなきゃ娼婦としてちょっと適性不良と言わざるを得ないだろう。

(ああクソ、香水くさいな……)

 まとわりつく女の匂いをシャワーで洗い流しながら、昨夜の嬌声を思い出し、ローはごつっとバスルームの壁に頭をぶつけた。

「飲みすぎたんだ……」

 マルガリータは意地を張ってたのか、初めてで緊張していたのか、ほとんど声を上げなかった。隣から聞こえてくるの声のほうが大きくて、すべての明かりを消した真っ暗な部屋の中、時々を抱いているような錯覚に陥った。
 泣きじゃくるクルーの声に興奮して、ひどく夢中になった。禁忌だと理解しながら。

「忘れろ。酔ってたせいだ……」

 自分に言い聞かせてローは記憶と感情の消去を図る。それができなければ、これまで通りと航海なんてできない。

『まだ?』
『まだシャワー中よ。押さないで!』
『本当にいい体よね。抱かれたい』
『マダムが億超えするって言ったら絶対当たるもの。今のうちにコネクションを作っておきたいわ』

 バスルームの鍵穴から覗きながらささやく女たちの声が聞こえてくる。あまりしつけが良くないようだ。バスルームに鍵があって幸いだった。
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