第3章 セイロウ島
頭まで毛布にくるまって震えるを見て、ベポは首を傾げた。
「寒い? 毛布もっと持ってこようか?」
「ううん、暑い……」
「え、暑いの?」
「うん」
「甲板に出て風に当たる? あ、ダメだ。を部屋から出しちゃダメってキャプテンに言われたんだった」
「キャプテンに?」
「うん、ごめんね。どうしても出たいなら俺キャプテンに言ってこようか?」
「いいの。キャプテンがダメって言うならここにいる……」
赤い顔で辛そうに言うので、ベポはおろおろした。
「ベポ、キャプテンほかに何か言ってた?」
「ええと、を出しちゃダメだし、誰も部屋に入れてもダメだって。あ、でも島に着くまでの間だと思うよ。セイロウ島に戻ったらまた聞きに行くから」
「……いいの」
「え?」
「島に着いても出ない。……熱が引くまで一人でいるってキャプテンに伝えて」
「ええ、でも熱があるんでしょ? 一人じゃ辛くない?」
「大丈夫、我慢する。……キャプテンに嫌われたくないから」
ベポは首を傾げた。
「具合が悪い時は甘えてもキャプテン怒らないよ。優しくしてくれるし」
「……いいな、ベポ」
小さなささやきは、クマのミンク族にも聞き取れなかった。
「、今なんて?」
「……疲れたな、って。ごめんねベポ、もう少し寝てもいい?」
「うん、俺もう行くね。船を出すならブリッジに居なきゃ」
「運んでくれてありがとう」
「島についたら言うからゆっくり休んでて」
おやすみのガルチューをしようとして、だめって言われたのを思い出し、ベポはすんでのところで思いとどまった。
(にガルチューできないとさみしい……)
◇◆◇
とぼとぼとブリッジに戻ると、船長に「遅いぞベポ」と言われてしまった。
「ごめん、キャプテン。が目を覚まして。すぐ出航の準備するね」
「が……? 何か言ってたか」
「ええと、何だっけ。キャプテンに伝えて欲しいって言われたんだけど」