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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第3章 セイロウ島


 服がボロボロになるまで鎖で打たれ、血だらけで動かない、ハートの海賊団のソナー。はもう意識もなく、白い顔で倒れ込んでいた。
 シェレンベルクの右腕からつながる鎖は滴るほどに彼女の血で濡れ、金色の髪が絡みついていた――。

「……っ、てめぇ!!」

 怒りにまかせてローはROOMを広げた。いかなるものも改造自在な自分の手術室。その中でローは刀を振るい、前方のマストごとシェレンベルクを一刀両断した。

「……俺は全身から鎖を出し、自在に動かすことができる鎖人間。てめぇがどんなに刻もうと、連結すりゃあ済む話だ」

 切られた断面から無数の鎖が伸びて、分かれたパーツが結合する。切断でシェレンベルクを行動不能にするのは難しそうだった。

「――タクト!!」

 切ったメインマストを弾丸のように飛ばし、ローはシェレンベルクを甲板から突き落とした。船から一歩落ちれば海だ。能力者に逃れる手はない。
 だが船首に鎖が巻き付き、シェレンベルクは海に落ちる前に船へと舞い戻った。

「そんなものか、ルーキー」
「クソが……っ」

 舌打ちしてローは次の策を練る。冷静にならなければならないのに頭は沸騰して、指先は冷たい。こんなやつを相手にするより一刻も早くに駆け寄って、傷を診てやりたいのに。

「海賊が正義のヒーロー気取りか……!」

 向かってきたザコどもを両断する隙を突かれて、シェレンベルクの鎖が絡みついた。

「ずいぶんと面白ぇ能力だが……海に落ちれば終わりなのはてめぇも同じだろう」

 全身に巻き付いた鎖がギシギシとローを締め上げ、甲板から空中へと持ち上げる。そのまま落とされればローは海へと真っ逆さまだ。

(クソ……っ)
「ダメ……!!」

 シェレンベルクの足にしがみつき、妨害したのは目を覚ましただった。
 完全に虚を突かれてシェレンベルクは体勢を崩し、鎖がゆるむ――。

「ROOM――!」

 能力を使ってローは自分の身を甲板に散らばるロープと入れ替えた。鎖が絡まり、シェレンベルクの攻撃手段を封じたロープを、ローはさらにシェレンベルクの体に結びつけて甲板から蹴り落とす。

「鎖をどんなに動かせようと、結び目は解けねぇだろ……っ」
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