第3章 セイロウ島
4人がサロン・キティを出ると同時に建物は燃えて崩れ落ちた。
自分の城の最後にもマダムは一瞥をくれただけで、「マダム!」と駆け寄ってきた街の住人たちに指示を出す。
「海軍の対応は町長に任せるよ。娘たちがさらわれた。あたしはこれからあのバカ海賊を追わなきゃならない」
「ペンギン、とにかくお前は最優先で船に燃料を入れろ。準備ができ次第すぐ出港する。……を取り戻しに行くぞ」
「アイアイ、キャプテン!!」
マダム・シュミットは若い青年に一緒に行くよう頼んだ。
「ニコロ、悪いが一緒に給油所に行ってくれるかい。あたしの名を出せば親方はすぐ動いてくれるはずだ」
「わ、わかりました!!」
「ルイーゼ、港に何か食べ物を頼むよ。やつを追う前に少しでも体力を回復しないと……」
「わかった、任せときな」
「それよりマダム、とにかくまずは医者に……」
「ああ、そうだね」
そのうちね、と気のない返事をしてマダム・シュミットはさっさと港に向かう。
「キャプテーン、大丈夫なんですか……」
マダムに代わってローに肩を貸すシャチが、いつにない船長の消耗ぶりに情けない声を上げる。
「俺の心配はいい。……のことだけ心配してろ」
「そりゃもちろん、のことは死ぬほど心配ですけど……っ」
とにかく少しでも能力を使えるように体力を回復しようと、ローは出港準備を手伝うため街の住人たちが慌ただしく行き交う港で座り込んだ。
「キャプテーン!! どうしたのそのケガ!? は!? はいなかったの!?」
船番を言いつかっていたベポが涙ながらに飛びついてきた。
「は見つけたが、海賊に船で連れ去られた。これから追う」
「なんでそんなことに!?」
「さあ。そこのマダムに聞け」
腹立たしくマダム・シュミットを親指で指すと、フンと彼女は鼻を鳴らした。
「あたしらは信念に従って海賊どもをとっ捕まえては海軍に引き渡してただけだよ。脱獄を許す海軍の間抜けさは同意だが、誰に非難されるいわれもないね」
「てめぇらの信念なんぞ知ったことか。捕まる間抜けな海賊に同情する気もねぇ! だがなんでそこにが巻き込まれなきゃなんねぇんだよ!!」