第3章 セイロウ島
「キャプテンの声がしたの! 行かなきゃ!」
「ダメよ、ダメだったら……っ」
「……!!」
シャチとペンギンが歓声を上げる。
(無事か……)
ほっと息を吐くだけでも、マダム・シュミットに殴られた腹部が痛んだ。
「みんな? キャプテンもいるの?」
「ああ、いる。……お前なんて格好してんだ」
は超ミニのドレス姿だった。ただのドレスではなくあちこち透けていて、非常に際どい格好だ。シャチなんかまた鼻血を吹く寸前だった。
「え……リボン結んでもらったの。変?」
結い上げられた髪を触っては不安そうにする。
「そっちじゃない」
まあとにかく無事なようでなによりだった。これで目的はすべて達成だ。
あとはマダム・シュミットが這い上がってくる前にさっさと撤退しようとして、ローはが動かないことに気づいた。
「……?」
「……キャプテンが北の海<ノースブルー>で、50人の海兵をバラバラに切り刻んだって本当?」
◇◆◇
街に危急を告げる鐘の音が鳴り響く。
「海賊の襲撃だーー!!」
物見台の上でけたたましく鐘を鳴らして、街の青年が叫んだ。
「旗は!?」
「ドクロに鎖とチェロ……っ! シェレンベルクだ!!」
「脱獄したとは聞いていたが、マダム・シュミットに復讐に来やがったか……っ」
「他にも海賊船が多数!!」
沖合の海賊船たちは容赦なく街へ向かって砲撃してきた。
「マダムに知らせに走れ! それと海軍に連絡! 住民は地下に避難させろ……!」