第11章 死者の夢
魚をさばきながら意気投合する二人をローは無言で見つめた。なんか悔しい。
「ちょっとサメ獲ってくる」
「なんでサメ? 今から海行くの?」
「サメは魚類だから。釣りの話にまざりたいんだよ」
ひそひそとコラソンが解説し、「しょうがないなぁ」とは破顔した。
「キャプテンは網係にしてあげる」
玉網を渡し、はにこにこしている。ローの顔を見てコラソンは「ぶっ」と吹き出すのをこらえた。
「……あれ? なんか焦げ臭い?」
「やべ! 米炊いてるんだった!!」
焚き火にかけっぱなしだった飯盒にコラソンが慌てて飛びつく。
「コラさんダメだよ!」
案の定、素手で飯盒に触ってしまい「あち!!」とコラソンは声を上げる。はずみで飯盒が宙を舞い、ローは両方を能力でキャッチした。
「コラさん」
さっき言ったばかりなのにと、ローの顔が怖くなる。「ごめんなさい」と37歳は子猫のようにしおれた。
「コラさん大丈夫?」
新しい水を汲んできて、が火傷したコラソンの手を入れる。
「あとは私がやるからコラさんは見てて」
「もうコラさんは見る係にしよう。動かないでくれ」
「そ、そんなロー」
「あと味見係ね」
ハッと二人は気づいた。キャンプ飯なので油断してたが、なら焼き魚に「マシュマロチョコソース」とかやりかねない。
「コラさんはの監督と味見に専念してくれ」
「よっしゃ」
なぜか意気投合した二人に、は不思議そうにする。
「米は底がちょっと焦げたけど、平気そうだ」
中を確かめ、ローは冷めないように飯盒を焚き火の近くに戻した。
「コラさんお魚はお刺身にする?」
「淡水魚は刺し身はちょっとなぁ。ここは一番オーソドックスに塩焼きにしよう。キャンプで食べる魚はこれが一番うまいよ。内臓だけ取っちまおう」
「、手切らないようにな」
「ドジっ子じゃないから平気だよ。ちゃんと気をつけるもん」
「ちゃん俺もね……気をつけてはいるんだよ」
しくしくと泣き真似をするコラソンに、はローに助けを求めた。
「キャプテン、コラさん泣いちゃった」
「本当に泣くときはもっと号泣するからこれはウソ泣きだ」