第11章 死者の夢
114.森のキャンプ
「コラさん、一緒に森にキャンプに行かない?」
ローと一緒に帰ってくるなりに提案されて、コラソンは目を瞬いた。
「今から?」
すっかり日が暮れて外は真っ暗だった。膝の調子が良くないのもあり、コラソンは固辞しようとしたが――。
「一緒に来てほしいんだ」
深刻な様子でローにも頼まれ、話があるのだと察し、コラソンはうなずいた。
◆◇◆
「、あんまり火に近づくなよ。ヤケドするから」
「わかってるよ。火は熱いからわかるもん」
焚き火に興味津々で身を乗り出すを捕まえておくようコラソンに頼んで、ローは能力でテントを組み立てる。
夜の森は暗くて見えないので最初に火を焚いたのだが、失敗だったかもしれない。子供のようにがはしゃいでしまっている。
「ちゃん、手がこんがり焼けちゃうよ」
慌てるコラソンの声に、ローは反射的に能力でを取り寄せた。
「危ないって言っただろ!」
手を確かめて、ヤケドしてないか確かめる。は無事だったが、その後ろでコラソンが「あち!」と声を上げた。
「キャプテン心配する相手違うよ」
「コラさん……」
「そ、そんな目で見るなよロー」
焚き火から1メートル離れる家長命令を出して、ローはを連れて夕飯の材料を取りに出かけた。
は大物を釣ると意気込んでいたが、あいにくもう暗いので魚も寝ているのか成果は0だった。
「エサが悪いのかも。キャプテン、ミミズ探して」
「ミミズも寝てるよ」
「だってこのままじゃ晩ごはんナシだよ!」
薪を拾って両手がふさがっていたローは、魚が入るはずだったバケツをに持たせる。そしてその中に、能力で川から魚を取り寄せた。
いきなりバケツに移されてパシャパシャと混乱する魚に、は無表情になる。
「キャプテンと一緒だと釣りする楽しみがないね」
「ボウズでいいなら逃がそうか?」
意地悪く尋ねると「それはお腹空いちゃう……」とはすぐ降参した。
「戻ろう。コラさんが米炊いて待ってる」
薪の束を片手に持ち替えて、ローはと手をつなぐ。片手でバケツを抱えて、は上機嫌だった。