第11章 死者の夢
「……ヘイアン国で助かったのはのおかげだ。ありがとう。今回も助けに来てくれたんだな」
「私がいないとキャプテン危なっかしいんだもん」
「ああ。がいないとこの先も不安だよ」
ちょっと悩んで、はローの手を握った。
「キャプテン、私のことは忘れていいから、また誰かを好きになって。私、キャプテンにいっぱい優しくしてもらって幸せだったよ。キャプテンも幸せそうだった。キャプテンには誰かそばにいてくれる人がいたほうがいいと思うの。浮気だーっていっぱい怒っちゃったけど、もう怒らないからまた誰かいい人を好きになって」
辛そうに言われて、嫌だって反射的に言いそうになった。以外いらない。誰もの代わりになんかなれない。
でもそんな風に思い詰めるのをが心配してくれているのもわかるから、拒否することもできなかった。
「……よりいい相手がいればな」
「きっといっぱいいるよ」
「どうだろうな。正直、に出会うまで誰かをこんなに可愛いって思ったことがなかった」
だけが本当に特別だった。触れると安心できて、一緒にいると楽しくて、見てて飽きなくて。ずっと一緒にいたいと思ったのはだけだ。
「……愛してる。この先、誰かと一時的に一緒にいることになったとしても、死んだあと帰りたいのはいつだって今の家だ。もっとずっと一緒にいたかった。……守ってやれなくて、ごめん」
「キャプテンはいつも私のこと守ってくれたよ。ハートの海賊団の船に乗った日から、私は一瞬だって不幸なときがなかった。大好きだよ。だから生きてね。幸せになって」
そんな風に言われたら、もう「別れたくない」なんてすがりつけなかった。代わりに無言で抱きしめて、ぎゅっとも抱きついてくる。
「……夢を終わらせよう」
それが永遠の別れを指すのだとしても。