第11章 死者の夢
ローの弱気を察して、が手を握って強く言い聞かせる。でもどんなにに叱咤されても、ローにはこの夢を終わらせる覚悟は持てなかった。
「やコラさんと会えなくなるなんて嫌だ……」
「永遠に続く夢なんてないよ。命がある限り、ちゃんと現実を見なきゃ」
「がいない現実ならいらない」
彼女を抱きしめてローはひたすら首を振った。起きなきゃいけないのも、ベポたちを助けなきゃいけないのもわかってる。
でも「をまた失ってしまう」と思うと恐怖で体がすくんだ。耐えられない。
「起きて現実でやることをやって、またここに戻ってこれるなら起きる。でもそんな保証ないだろ。グランドラインのどんな財宝より二人のほうが大事だ。二度と取り戻せないと思ったものをやっと見つけたんだ。夢だとしてもここにいたい。とコラさんが一緒じゃないならどこにも行きたくない」
ひどく動揺して、は手をさまよわせる。でもぎゅっと唇を結んで、彼女は強い瞳で言った。
「私はキャプテンに生きてほしい。みんなを死なせたくないからヘイアン国の王様になったんだよ。みんなにはもっと旅を続けてほしかったの。キャプテンに海賊王になってほしいんだよ。私は海賊にいっぱいひどい目に遭わされた。きっと今も誰かが同じように泣いてる。誰かが終わらせなきゃいけないの。キャプテンが海賊王になったらこんな時代は終わる。奴隷だった私に手を差し伸べて、いっぱい愛してくれたキャプテンなら」
買いかぶりだと言いそうになって、の強い瞳に言葉を失う。やっぱりそうだったんだと、は全部わかってて犠牲を引き受けたんだと突きつけられて、それを無駄にするようなことはできなかった。
惚れた相手にここまで見込まれているなら、応えないわけにはいかない。そのために彼女は犠牲になったのだから。
「……が望むなら海賊王になる。約束だ」
本当に嬉しそうに笑って、は「約束だね」と指切りした。
「……もう会えないんだな?」
「うん……もうじきケトスは100年の眠りにつくの。私も一緒にケトスと眠る。そうなったらもう、夢で会うこともできない」
永遠の別れということか。