第3章 セイロウ島
「クソ、島ぐるみかよ、タチ悪ぃな……!」
能力でベポを自分の隣に入れ替え、ローは地下道の扉を閉めると鉄のカンヌキをかけ直した。
「この分じゃシャチとペンギンもどうなってることだか……っ」
「ど、どうしようキャプテン……!?」
「とにかくを探す。あいつらのことはその後だ」
地下道にかかっていたランプに火を入れると、ローはベポと共に奥へ向かって走り出した。
地下道の先でが連れ去られた場所を見つける計画は早々に頓挫した。地下道は街の下水道につながっており、あまりにも複雑に分岐していたのだ。
「!! 聞こえるか!? 返事しろ!!」
「ー!!」
大声で叫んでも返ってくるのは反響音ばかりだ。敵の目的がの誘拐なら、いつまでもこんなところに居まい。
「クソ……っ」
「キャプテン……」
ベポが不安そうにうかがってくる。唯一の手がかりである地下道で追跡が困難になった以上、を見つけ出すのは非常に難しくなった。
(冗談じゃねぇ、必ず助けに行くって約束したのが今日の朝だぞ……っ)
だが未練たらしくここで捜索を続けたところで時間の無駄だ。下水道の壁を横から殴りつけて気持ちを切り替えると、「一度船に戻るぞ」とローはベポを連れて能力で上に出た。
◇◆◇
「キレイな髪ね。ピンクがかった金髪なんて初めて見た……すごく素敵よ」
「ありがとう」
いい匂いのする女性たちに囲まれて、は髪を梳かされていた。着せ替え人形よろしくドレスを着せられ、「自分で切ったの、その髪? 切り口がバラバラよ。切りそろえてあげるわ」と言われて髪をカットされ、今に至るのだが――。
「あの……本当にキャプテンとベポに私がここにいるって伝えてくれた? 急にいなくなってきっと心配してると思うの」
「まあ、かわい子ちゃん」
「純粋なのね、何も心配しなくていいのよ」
「ここにいれば大丈夫、もう怖いことは何もないわ」
(答えになってない……)
ずっとこの調子で煙に巻かれ、さすがに不安になってきた。
服屋で試着をしていたらいきなり鏡が開いて、「あなたを助けに来たわ。声を出さないで! 手を引くから私についてきて。いいわね?」と若い女性の声に言われ、訳の分からぬまま気づけばこの状態だ。