第11章 死者の夢
「……話してコラさんがを好きになったら困る」
うまい言い訳を考えた結果、ローは墓穴を掘った。
「おま……っ、かわいいな!」
肩を抱かれて頭をぐりぐりされ、ちょっと反抗期みたいな気分になった。
「酒もでもなきゃのことは話せない」
にひっと笑って、コラソンは茶色の瓶を振った。
「相棒が餞別にくれたいい酒だ。取っておいて正解だったな」
もはや逃げ道もなく、ローは捕まった。
◇◆◇
のことを誰かに話すのは難しかった。
どんな言葉もの魅力や独創性、優しさや芯の強さを表現するには足りなくて、ローは特にその手の行為が不得手だ。
でも誰かに話したくて仕方ないのも事実だった。
まだ全然諦めなんてつかなくて、取り戻したくて、誰かに相談してでもその方法が知りたい。
「そうか、勇敢な子だったんたな……」
ヘイアン国のところまで話して、ローはほてる顔を片手で覆った。
うまく話せなくて酒ばかり飲み、かなり酔いが回っていた。コラさんと酒が飲める日が来るなんて思ってもみなかったのだ。
「彼女とはそれっきりか?」
気遣うコラさんの視線が痛い。
破局はそのあとだ。でもあれを、なんて説明したらいいのかわからない。
「そのままのことはヘイアン国に置いて……次の島に行ったんだ。そこでたまたま、結果的に海賊に飼われてた女たちを助けることになった。……乱暴された記憶を上書きしたいって縋り付いてくるのを振り払えなかったし、がいなくて人肌恋しかった」
を裏切るつもりじゃなかった、とローは言い訳のように付け足した。
「裏切りだとは思わなかったし、遠く離れた島にいるに伝わるなんて思わないだろ? でもそれがどういう訳か……」
混乱して言葉が乱れるローに、コラソンは水を差し出して落ち着くよう言った。
それを一気に飲み干して、「夢にが出てきたんだ」とローはうめいた。