第11章 死者の夢
「……お前いつの間にそんなイケメンになったの?」
「コラさんの真似してたらこうなったんだよ」
はぅ!とコラソンは悲鳴を上げて心臓を押さえた。
「危ねぇ、惚れるとこだったわ。……さてはお前、相当女泣かせたな?」
つい最近、を号泣させてしまった。しかも何回も。罰が悪くて黙り込むローに身を乗り出して、「好きな子できたのか!?」とコラソンは詮索する。
「あのローがなぁ。近寄る女はもれなく全員睨みつけてたローが。泣くまで睨みつけるのやめなかったローが」
コラソンは感動して涙を拭っている。そこまでひどかっただろうかとローは納得いかなかった。
「俺の話はいいよ。CP-0の話だろ」
「……つまり、あの時オペオペの実を狙って島にいたのは、俺達とドフィだけじゃなかったんだ」
CP-0は政府の諜報機関。コラソンの話を聞いてローの中で話がつながった。
50億で取引をするより奪い取ってしまえばいいと考えた誰かがいるのだ。どうせ相手は海賊、皆殺しにしたところで騒ぐ人間もいない。
だがコラソンが誰よりも早くオペオペの実を手に入れ、ローが食したことで、彼らの目論見は崩れた。瀕死のコラソンを救ったのは決して、彼を助けるためではない。目的はドフラミンゴと同じく、オペオペの実を食べたローの行方を聞き出すことだったはずだ。
「あの後も……俺を守ってくれてたのか」
「そんな格好いいものじゃねぇさ。現に2年間、昏睡状態だったわけだしな」
照れくさいのかタバコに火を付け、彼はごまかすように笑った。
「実際2年も経って、お前がどこにいるかは本当にわからなかったし、大した尋問もされなかったよ。ただ2年間の生命維持費もバカにならなくてさ。有益な情報がねぇなら働いて返せって諜報部員として働かされることになったんだ」
ありそうな話にローはうめいた。この人の厄介事に巻き込まれるツキは自分の比じゃないと実感する。