第11章 死者の夢
「……?」
「島の名前だ。あるだろ」
「カナンよ。街の名前はトビリシ! ……そんなことも知らずに来たの?」
少女は口が達者で怖いもの知らずだった。
「海賊をバカにするとシロクマに食われるぞ」
ローは大人げなく少女を脅した。
「俺そんなことしないよ!」
「シロクマが喋った!?」
チェシャ猫を放り出して、少女はびっくり仰天した。
「なんでシロクマが喋るの? 南極から来たの? 普通シロクマは……シロクマだけじゃないけど、動物は喋らないのよ」
「猫だって喋るだろ」
ニヤニヤ笑いを浮かべながら、それでも放り出されてちょっと不満そうに、チェシャ猫は少女を見ていた。
「ミケはチェシャ猫だもの」
「えらい普通の名前だな……」
不気味な言動からもっと重々しいイメージを抱いていたらしいペンギンが拍子抜けしたように言う。
「ねぇ君、名前は? 俺たちこの島はじめてなんだよー! いろいろ教えてくれる?」
を思い出すのか、にこにこと少女を抱っこしたベポは、何者かに後ろから斬られた。