第3章 セイロウ島
「見えた、セイロウ島!」
水平線に現れた島影を指してシャチが叫んだ。
「一ヶ月ぶりの陸地か……」
「長かったなー」
「やっと陸を踏めるよー!」
「どんな島?」
感動を見ることができないのために、仲間たちは口々にどんな島かを説明した。
「そんなに大きくはねぇな」
「街は一つだけ。でも港は整備されてるし、活気もある。航海の途中の補給地にぴったりって感じだ」
「春島だから、暖かくて過ごしやすいよ」
「大抵のものはそろいそうだ。なにか欲しいものあるか?」
「うーん?」
欲がないなーと笑いながら、港に集まった人だかりを見て、ふとペンギンは「美人が多いなー」とつぶやいた。
「あんなキレイなお姉さんに歓迎してもらったら最高なんだけどなー」
「あのな……海賊を歓迎するような街があるわけねぇだろう」
「それはそうですけどー……」
うなだれるペンギンとシャチ。しかしまさかの事態が起こった。
「そこのかっこいいお兄さんたち~!」
港に集まった美女たちが、何を思ったか海賊旗を掲げた海賊船に向かって手を振ったのだ。
「奇跡だ!」
「ここは楽園か!?」
舞い上がって手を振る二人とは対象的に、船長は冷静だった。
「何の罠だ……?」
彼女たちの魂胆はすぐに知れた。
「うちの店に来てー!」
「サービスするからー!」
美女たちの薄手のコートの下は下着に近い露出の服だった。ひと目でそれ系の店の女性とわかる。
「海賊相手に客引きか。慣れたもんだな」
興味を失って、ローは「行く行く、絶対!」「臨時収入もあったし!」と熱を上げている二人に代わって船を停泊させる作業に入る。
「キャプテン、手伝うよー!」
「私も」
人間の女に興味がないベポとが手伝いに来る。あいにくはあまり役に立ちそうにないが。
「ベポはそれより、ログがたまる時間を聞いてこい」
「そうだった!」
航海士の大事な仕事を思い出して、ベポが走る。