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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第9章 ヘイアン国



「最初から説明すると……ヘイアン国は予言で栄えた国なんだ」

 ローとペンギンは困惑したが、ネルセンを始め、使節団の人間たちはうんうん頷いている。マリオンは口を尖らせた。

「キャプテン疑ってるでしょ」
「……いいや。占い師が何だって?」
「占いじゃないってば。ヘイアン国の予言は絶対当たるんだ。世界政府公認だよ。だからこそ大っぴらにはされてない。それでもこうして、危険を承知で手に入れようとする国があるくらいなんだから」

 はるばるグランドラインの海を渡って予言をもらいに行こうとしていた護衛団の船長は苦笑している。

「どこから話したらいいかな……ヘイアン国はもともと、神の寝床に近いだけの、ありふれた島だったんだ。100年に一度目覚める神の機嫌次第で天候さえも決まってしまうから、祈りを捧げる祭事が発展した。その神官の家系として栄えたのがイナリ家と、俺の生まれたコマ家」
「神っていうのは?」

 傾聴していたペンギンが、話についていこうと頑張った結果、片手を上げて質問をはさんだ。

「――海王類だよ。別名を夢喰いケトス。海の底で人の夢を食って100年眠り続け、100年先の未来を予言する神獣だと言われてる。その神の声を最初に聴いたのが、ヘイアン国の最初の王だ」
「ヘイアン国は1000年の歴史を持つ、グランドラインでも有数の国です。空白の百年の記録さえあるのではと、オハラも長年調査を依頼していました。残念ながら、記録は焼き捨てられていたそうですが」

 ハンゾーが横から補足する。その口ぶりにローは眉根を寄せた。

「オハラの人間なのか?」
「いいえ。祖父母がそうだったというだけです。私自身の生まれはオリエン王国ですよ。3世代前に移り住んでも、知的好奇心だけは変わらないから厄介なものです」

 自覚があったのかと、ブリッジにいた人間の視線がハンゾーに集中した。

「神との対話――それがヘイアン国の王の条件なわけですね? コマ家は王候補を選定するのが役目と聞きましたが――」

 マリオンが逃げ回っていた儀式のことだ。ハートの海賊団のメンバーから視線が集中し、彼は苦い顔をした。
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