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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第9章 ヘイアン国





 嵐を抜けた先にいたのは、巨大な船をいくつも鎖でつないだ大船団だった。はじめは罠かと疑ったものの、マリオンが心当たりがあると言うので、救援信号に応えてローは船団に接触した。
 船を船団につなぎ、マリオンとペンギンを伴って、一番大きな船のブリッジにローたちは招かれた。

「協力感謝する。我らはオリエン王国ほか7カ国からなる使節団。私は護衛団の団長のネルセンだ」

 海賊相手に握手を求めてきたのは、パイプが似合いそうな品のいいヒゲの紳士だった。船長としての年季は古そうだが、今はげっそりと頬がこけ、目の下のクマが疲れを物語っている。
 聞けば進路を見失って3週間が経ち、食料も枯渇寸前だったらしい。

「我らは予言をもらいにヘイアン国へ向かう途中だった。しかしどういうわけかエターナルポースが指す進路はデタラメで――」
「当然だよ。……このエターナルポース、偽物だ」

 見せてもらったマリオンが、ためらいもなく船の命綱であるエターナルポースを床に叩きつけた。船団のクルーたちは「何を――!」と色めき立ったものの、壊れたエターナルポースに磁石が仕込まれていたのを目の当たりにして、顔を青ざめさせる。

「どうせこれ、イナリから届いたものだろ。あの女のやりそうなことだよ」

 割れたエターナルポースの残骸を片付けながら、マリオンは吐き捨てた。

「失礼ですが……コマ家のご子息ではありませんか?」

 丸メガネを持ち上げて尋ねたのは、いかにも学者風のひょろりとした長身の男だった。
 顔を引きつらせるマリオンにずいっと顔をよせ、「ヘイアン国で罪を犯して国外に逃亡中とうかがっていましたが……なぜ海賊船に?」と早口でまくしたてる。

「……あんたは?」
「失礼。オリエン王国の予言分析官ハンゾーと申します。100年に一度の王の選定を見逃すまいと、無理を言って船に乗せていただきました。私はあの国の歴史と祭事に非常に興味がありまして」

 後ずさるマリオンを逃すまいと、ハンゾーは遠慮なく距離を詰める。明らかに知的好奇心が強すぎて厄介なタイプだった。
 目線で助けを求めてくるマリオンから能力でハンゾーを引き剥がし、ローはマリオンに説明を命じた。
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