• テキストサイズ

白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第8章 セブタン島



「想像以上の柔らかさ……」
「それ遺言でいいわけ?」

 銃口を向けられて、ツバメは飛び起きた。

「ひどい。いい夢見てたのに」
「永遠に見てたい?」
「どういう状況ですかこれ!?」

 爆弾に火をつけて突っ込んでくるマネキンを見て、ツバメは慌ててピストルを出して応戦した。

「人形遣いらしいわよ!」
「ブラッドリーですか!? あの正体不明の海賊!? 懸賞金2億7千万ベリーの大物ですよ!」
「そっちのお兄さんが知り合いらしいわ」

 話を振られ、ローは顔をしかめた。

「前の島で殺されかけた程度だ。……次はこっちが殺す」

 あーあの可愛い子が何かされたんだな、とロッティとツバメは事情を即座に察した。

(付き合ってるんですかね?)
(手を出してないわけないんじゃない? むっつりスケベな顔してるし)

 ひそひそと自分の話をされてローは切れそうだった。

「うるせぇ。また性別入れ替えるぞ」
「ぜひ!」
「黙れツバメ。おっぱい揉んで爆死未遂野郎って今後呼び続けるぞ」

 捨てられ寸前の犬みたいな顔でツバメは悲壮に首を振った。

「人からなんと呼ばれようと構わないと思ってましたけど、それだけは嫌です」

 バカバカしすぎて声をかける気にもならなかった。
 相変わらず襲ってくるのは人形だけ。ブラッドリーが姿を見せる気配はない。

(ふざけやがって……っ)

 ローは能力領域を広げると、すべての人形を爆弾ごと一撃で両断した。火薬に引火し、派手に爆煙が上がる。

「操り人形はいなくなったぞ! 次はてめぇが出てきたらどうだ!?」

 肩で息をしながら声を張り上げてローは叫んだが、ブラッドリーが出てくる気配はなかった。

「クソが……よくもそれで海賊が名乗れたもんだな。2億7千万の額面は虚仮威しか」

 ローは毒づいたが、ブラッドリーからの反応はない。代わりに現れたのは、泣きながら迷い込んできた子供だった。

「うぇーん、お母さんどこ……?」
「いまここに来ちゃダメよっ」

 別人かと思うほど優しい声を出して、ロッティが迷子を避難させようとする。何か引っかかった。
/ 528ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp