第8章 セブタン島
イナリもブラッドリーも、七武海を敵を回すことを恐れていないのだ。そのあまりの大胆さとイカレっぷりに、ペンギンたちは身震いした。
そんな連中に追われていたのかと、改めて彼らはマリオンの境遇に同情する。
「……なんであんなに奴隷を必要とする? 世話係なら足りてるはずだ。不慣れな使用人なんか使いたがらないだろ。民にはさせられない何かをやらせる気なのか――?」
独り言を言いながら考えに没頭していたマリオンは、ある結論にたどり着いて地面を殴りつけた。
「畜生、あいつ……! 奴隷を生贄にする気だ。彼女たちを海に放り込んで神への供物にする気なんだ……っ」
ぎょっとするペンギンたちに構わず、マリオンは「止めないと!」と急斜面を駆け下りた。仲間が何をする気なのか、彼らは追いかけるしかなかった。
69.静寂と海賊
「どういう状況よ、これ!?」
部下たちを下がらせ、爆弾の導火線に火をつけて突っ込んでくる人形に散弾銃をぶっ放し、ロッティ(inツバメ)は騒いだ。
(人形ってまさか――)
突っ込んでくる人形たちを爆弾ごと海に放り込みながら、ローは既視感を覚えていた。斬っても斬っても湧いてくる人形に、ホワイトガーデンでも遭遇した。
ブリキの人形とマネキンの違いはあるとはいえ――。
「ブラッドリーか!? 隠れてねぇで姿を見せろ!!」
あのときは珀鉛病のせいで力が出せず、まんまと捕らえられてしまった。だが今は体調万全で、負ける気などなかった。
を殴った借りを100倍にして返してやる。
「ブラッドリーって……人形遣い!?」
散弾銃で人形の頭をふっ飛ばし、それでも構わず突進してくるマネキンに「もうやだ気持ち悪い!」と叫んでロッティは散弾銃を乱射した。ナギナギの能力がないので非常にうるさい。
「戻してちょうだい、戦いにくいったらないわ!」
形勢はこちらが明らかに不利だった。この場合仕方ないかとローが二人の人格を戻すと、鼻血を拭いてロッティが立ち上がり、代わりにツバメがその場に倒れ込んだ。
その副官の頭を、ロッティは容赦なく蹴り飛ばした。
「起きろ! あんたこのままじゃおっぱい揉んで爆死っていう恥ずかしい死に様ワースト3よ!!」
ローですら死亡診断書を偽造してやりたくなるような死因だった。というか1、2が地味に気になる。