第8章 セブタン島
(キャプテンも気持ちいい……?)
返事の代わりにもたらされるのは荒い息遣いと、余裕のないキス。快感も、喜びも、悲しみや苦しみさえ一緒がよかった。
気軽に弱音を吐くことのできない人だから、別離の日が来るまでそばで支えたい。
(大好きだよ、キャプテン……)
一緒にいられればそれだけでよくて、強くなれる気がして、ほかに不安はなかった。
だからあんなにも早く別れの時が来るなんて、この時は考えもしなかったのだ。
65.西の港の夜明け
が動く気配に目を覚まし、ローは寝過ごしたのを悟った。
(もう夜明けまで間がねぇな)
慌てて起きると、自分に掛けられていた毛布を引っ張ってローを包もうとしていたが「もう朝?」と首を傾げた。
「まだ夜明け前だ。は寝てていい」
「キャプテンどこか行くの?」
「ちょっと野暮用だ。2、3時間で戻る」
不安そうにも起き出そうとしたものの、体の異変にうまくいかなかった。
「全身ガクガク……」
「寝てていい」
かくゆうローもやりすぎて足腰が非常にだるかった。があんまり可愛いので間違いなく人生で一番やりまくって、知らなかった自分の一面を知った気がする。
「海軍のところに行くの? キャプテン、私に何か隠してる?」
泣きそうな顔でしがみつかれて、可愛さにくらくらした。押し倒したい。
「隠してるというか……十中八九罠だ。様子を見てくるだけだ」
心配しなくていいと額にキスすると、は不安そうな表情を変えなかったものの、ローから手を離した。
「じゃあ、待ってる……」
しょんぼりされて、ミニサイズにして連れて行きたくなる。
「すぐ戻る。約束する」
「ロッティに会うの……?」
「多分な。……戻ったら話を聞いてくれるか?」
「うん」
もちろん、とは当たり前のように頷いてくれた。だから怖いことは何もなかった。
「行ってくる」
抱きしめるとはローの背中に手を回し、「いってらっしゃい」と笑った。この笑顔の元に帰るためなら、何でもしようと思った。