第8章 セブタン島
「先に飯――の前に風呂だな」
「キャプテンがヘロヘロになっちゃうお風呂だね」
「……俺が水に弱いわけじゃない。能力者はみんな弱いんだ。悪魔の実のせいだ」
「負けず嫌いだなぁ」
指をつかないように起き上がろうとして難儀しているを抱き上げて、ローは「ヘロヘロになんかなるか」と決意しながらバスルームに行ったものの、水には勝てずやっぱりヘロヘロになって、に遊ばれた。
◇◆◇
「、どれがいい? どんな匂いが好きだ?」
昼過ぎ。二人は香水店にいた。
「好きなのは……ケーキの匂い?」
「それはちょっと勘弁してくれ」
テスターで匂いを確かめていたは「これアイスの匂いがする!」と顔を輝かせてローに勧めた。
確かにおいしそうなバニラの匂いはするのだが。
「これ俺に似合うと思うか?」
「素敵だと思うよ」
他意のない、本当に良いと思っている様子に、改めて彼女の目が見えないハンデを感じる。
「……もうちょっとかっこいい感じで探してくれ」
「かっこいい匂い……?」
次のテスターに手を伸ばし、「みかんっぽい匂いはかっこいい匂いかな?」とは首を傾げた。完全に混乱している。
「そういえば、香水屋さんなら悪事の匂いがあるかな? 今後嗅ぎ分けられるように知っておきたい」
「……残念だが、多分ない」
「もっと大きいお店に行かなきゃダメ?」
「悪事の匂いをわざわざ付けたいやつがいると思うか?」
「そっか、海軍に追い回されちゃうね」
は納得し、「キャプテンこれは?」とテスターを差し出した。
「キャプテンに似合いそう。大人の男の人の色気って感じ」
「へぇ?」
の説明でだいぶ買う気になりながら、実際に匂いを嗅いでみるとローも気に入って、それを購入した。