第8章 セブタン島
船でするのは嫌だと言われたので、ホテルまで移動した。浮かれるのと同時に、時間が経つとの気が変わってしまうじゃないかという不安もあって、ローは余裕もなくをベッドに押し倒した。
「すごい。ベッドもふかふか」
(あー、可愛い……)
浮かれてバカになってるなと思いながら、にキスしたくなるのを止められない。その本能に従い続けていたら、に「キャプテンはキスが好きだね」と笑われてしまった。
「好きでもない相手とでも……セックスはできるけど、キスは好きな相手じゃないと嫌だろ」
「それは……うーん、なんとなくわかるかも」
起き上がってもローにキスする。狙いが外れて唇からちょっぴりずれたが、手が使えなくて位置が確かめられないので仕方ない。からキスしてくれたのが嬉しくて、それ以外のことは全部些事にしか思えなかった。
ここだと教えるようにローは舌での柔らかい唇をなぞり、口内にも舌を入れて歯列を舐めながら、彼女の服を脱がせていく。
「きれいだな……」
白いうなじにそそられて、思わず甘噛みすると「ひゃん!」とは悲鳴を上げた。
「そんなに強く噛んでないだろ」
「く、首はだめ……」
脱がせられたパーカーを引っ張って、は首ごと、せっかく脱がせた上を隠してしまう。真っ赤になった耳がおいしそうで、ローは「じゃあこっちにするか」と意地悪くの耳を食んだ。
「み、耳はもっとだめ……っ」
びくびくと体を震わせながら逃げ出そうとするを捕まえて、ローは腕の中に閉じ込める。
は抵抗とばかりにローの帽子を取り上げたが、に貸すのは嫌ではなかったので好きにさせると、彼女はそれで自分の顔を隠してしまった。
「何やってんだ」
笑って尋ねると、は「キャプテンの真似」と言い返す。
怒った振りして取り上げると、真っ赤になった可愛い顔が現れた。
「キャプテンの女たらし。もう心臓壊れそうだよ……」
「まだ何もしてないだろ」
キスしながら言っている時点で、だいぶ説得力はなかったかもしれない。
「首噛まれた! 耳も食べられた……」
「これから全部食べるのに、序盤でそんなこと言われてもな……」