第8章 セブタン島
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「軍資金はできたな。、プールのあるホテルに泊まれるぞ」
「キャプテン泳げないのに?」
「雰囲気だ。だってどうせなら豪華なホテルに泊まってみたいだろ」
目が見えないはきょとんとして首を傾げた。
「ホテル泊まったことがないよ」
「ならなおさら、最初の体験は大事だろ」
の手を引いてセレブ向けの宿泊施設に向かいながら、ローは浮かれてしまうのを止められなかった。
「海軍に追われてるのにこんなにのんびりしてていいのかな?」
「逆にこっちに潜伏しちまったほうが見つかりにくい。観光街でバタバタ大捜索なんてしちまったら貴族からクレームが来るからな。ログが溜まるまでホテルでのんびり身を隠そう」
「みんなには内緒で?」
「ああ。バレるとうるさそうだからな」
ガードが硬そうな門番のいるホテルを選び、ローはと二人分を偽名でチェックインした。
「すごーい。床がベポみたいにふかふか」
「、ロビーで絨毯撫でるのは勘弁してくれよ」
「しないよー。今は手が痛いもん」
「痛くなくても我慢してくれ」
高価そうな絨毯の敷かれた中央階段を登り、ローはフロントでもらった鍵の部屋へ、を連れて向かう。
「……?」
部屋に入ってもの反応はイマイチだった。
「でかい窓ガラスがあって、海が見える。景色はすごくいいが、にはあんまり関係なかったな」
「しばらくここに泊まるの? ええと……」
「右がバスルーム。正面がテラス。左にベッド」
「覚えるからちょっと待って」
「慌てなくていい。手を貸そうか?」
「大丈夫」
見えないは手探りで空間を把握し、歩数を数えて距離を測る。
ベッドに座ってローはそれを待っていたが、すぐに耐えられなくなってを能力で取り寄せた。
「わ! キャプテン!?」
「全部後にしよう。部屋は逃げないから」
抱きしめてキスすると、は笑った。
「私だって逃げないよ」
「逃げないもの二つならが優先に決まってるだろ」