第2章 グランドライン
(可愛いからな……)
ペンギンにニヤニヤ見られ、「なんだよ」とローは低く言った。
「キャプテンにもちゃんと赤い血は流れてたんだなって」
「俺をなんだと思ってんだよ……」
「鬼キャプテン?」
「そうかよ。じゃあ食料が尽きたらまっさきにお前をバラして食ってやるからな」
「ペンギンは美味しそう?」
海図台の上にちょこんと座って、フーフーとココアを飲みながらは尋ねた。
「いいや。だが内蔵なら焼けば一緒だろ。生は腹壊しそうだが」
「なにおう、尻の肉とかプリプリして美味しいに決まってるでしょう」
「えー、俺はやだな……」
しみじみと言うベポにキャプテンも同意した。
「俺だって嫌だ。最終手段だ」
肉食動物の目でキランと目を輝かせて、ベポはに狙いをつけた。
「は美味しそうだよね」
「そう?」
「指とか砂糖菓子みたいだよ。甘そう」
「食べたことないからわからないわ」
味見とばかりに鼻を寄せて、ベポは「ココアの匂いがする」と言った。
「それはカップの匂いじゃない?」
「今を食べたらココア味だね」
なら絶対おいしいと頬を擦り寄せるベポを見て、心底うらやましそうにするペンギンにローは忠告する。
「……お前がにやったらセクハラだからな」
「くそう、俺もクマに生まれるんだった」
呆れて言葉も出ないので、ローは放っておいて毛布でをくるんだ。
「これもキャプテンの毛皮?」
「帽子はやれないが、これはやる。燃料も少ないからじき暖房を切る。風邪引かないようにしてろ」
ケープのように前で結んでやると、は気に入ったようだった。
「私の毛皮ね」
「ココア飲んだら、の仕事を教えるからな」
「私の仕事?」
よほど興味があるのか、は急いでココアを飲み干した。
「ここに座って、ヘッドホンつけろ」
「……なあに、この機械?」
座席の前の機械をぺたぺたと触って、は首を傾げた。
「ソナーだ」
「ソナー?」