第8章 セブタン島
58.おにぎりパーティ
「キャプテン、おかえり」
船で出迎えてくれたの顔を見て、やっとローはほっとした。
「ただいま」
疲れた、との肩に頭を乗せると、彼女は不思議そうな顔をした。
「キャプテンなんだか焦げ臭いよ? 誰かにバーベキューにされたの?」
「……どっちかっていうと花火だな」
「どかーんって?」
「そう」
は船長の体が弾け飛んでいないか、あちこち触って確かめた。
「そこ痛い」
興奮状態だったせいで気づかなかったが、あちこち青黒いあざになっていた。には見えないので遠慮なく脱いで体の状態を確かめ、腕を動かすと痛いので、着直すのはやめておく。
「本当に焦げ臭いな」
ススのついた服を嗅いで、に言われるわけだと納得する。
「脱いでも臭いか?」
「ちょっぴり。シャワー浴びたほうがいいかも」
鼻を寄せて、はアドバイスした。
「わかった、浴びてくる」
に臭いと言われるのは辛いので、疲れてしんどかったが、無理してローはシャワー室へ向かった。
(ああクソ、帽子まで……)
焼きすぎた肉みたいな匂いが染み込んでいた。後で洗濯しないといけないだろう。
シャワーを浴び終わると急にどっと疲れが出て、ローはタオルをかぶって自室をかねる診察室のソファ座り込んだ。
「キャプテン大丈夫? 入ってもいい?」
「ああ」
様子を見に来たはローの状態を確かめるべく顔を触って、「まだ髪濡れてるよ?」と忠告した。
「肩が痛くて腕が上がらないんだよ」
「そっか、それでシャツも着れなかったんだね」
「そう」
シャツは能力を使えば着られることに今更ながら気づいたが、が「着せてあげる」と世話を焼いてくれるのでありがたく甘えることにする。
服を着せてもらって、髪も拭かれて、ケガするのも悪くないと思えた。