第8章 セブタン島
「キャプテンはたまにすごく無茶するよね」
「ほどじゃねぇさ」
しれっと言い切って、ローはを連れて川岸に停めた潜水艦に戻った。
「おかえり~。機嫌直った?」
船番のベポが出迎え、は緊張の糸が切れたようにハートの海賊団のシロクマに抱きついた。
「……まだ」
「えー! じゃあ何してるの?」
「ベポが川くさくないか確認してるだけ」
「大丈夫だよ~。キャプテンがいなきゃ、川に落とす人がいないもん」
何を思ったのか、はベポをぐいぐいと手すりのほうへと押しやった。
「何してるの?」
「ベポを洗濯する口実を作ろうかと思って」
「着ぐるみじゃないってば!」
ベポはを抱き上げて否定する。
「だってミニベポはいい匂いがするけど、ベポはなんだか獣くさいんだもん」
「俺はケモノなの!」
「しょうがないなぁ。じゃあ一緒にお風呂入ろう?」
「うーん、面倒くさいけどが入りたいならいいよ」
聞き流そうとして、なんとも言えない顔でロー1人と1匹を振り返った。
「ちょっと待て」
「あ、キャプテンも一緒に入る?」
顔を輝かせるベポに「入るか!」と否定し、「ベポと一緒なんてせまいだろ」とローはを説得しようとする。
「大丈夫だよー。洗濯板さえ入れば」
「、お風呂だよね? 俺を洗濯するわけじゃないよね?」
「ベポが毛皮脱いでくれれば話は早いんだよ?」
「脱げたら苦労しないの!」
「わかった。刈るぞ」
「え!?」
解剖するぞと同義だとばかりに、ベポは一目散に逃げ出した。バリカンを能力で取り寄せて、嫉妬深い船長はシロクマを追い回す。
「毛皮がなくなったら俺シロクマじゃなくなっちゃうよー!」
「もうすでに豚だろ」
「豚じゃないよ! 50グラム痩せたよ!」
「そんなの痩せたうちに入るか!」
「わーん!」
泣いて逃げ惑うベポを尻目に、は「ベポがもこもこじゃなくなったらミニベポがもこもこ海賊団の船長だね」とぬいぐるみに話しかけている。