第8章 セブタン島
笑ってローは水入り瓶を能力で取り寄せた。に渡しながら励ます。
「筋は悪くない。どっちかって言うと、優秀じゃないのはベポの教え方だな」
「うー、やっぱり? 俺、自己流だからあんまり自分がどう動いてるか、口じゃ説明できないんだよー」
より疲れた顔で、ベポは「アイアイー!」とフルスロットルで甲板で演舞する。
その音を聴きながら、は首を傾げた。
「なんかベポ、激しく動いてる……?」
(……時間かかりそうだな)
は運動神経は悪くないのだが、やって見せて説明されてもわからないので、ベポの擬音満載の講座とは相性が悪いようだ。
(そもそもベポみたいに動けるようになったとして、はベポの100倍危なっかしいからな……)
ベポなら勝てない相手からは逃げるが、は死ぬまで引かない。体を鍛えること自体は賛成なものの、戦闘に自信を持たれるのも非常に困りものだ。
(今でさえ自分に爆弾投げさせたり、爆弾持って自爆しようとしたり、危なっかしいったらねぇのに……)
言い聞かせたところでいざとなったらは本能の塊だから、どんなに口を酸っぱくして言っても無駄だ。
考え込んだ末、「もっとに向いてるのを教える」とローはベポと交代した。
「いいか、まず敵を倒そうと思うな。の体重と筋力じゃ無理だ」
ガーンとショックを受けて、は泣きそうな顔でローの服を掴んだ。
「が、頑張る。鍛えるから」
(色仕掛けなら一発だな……)
可愛すぎてくらくらしてくる。なんでも言うこと聞きそうになりながら、ローは「無理なものは無理だ」と冷酷に言い放った。鬼と言われようと、の安全のためなら甘んじて受け入れる。
あまりのショックにはうつむき、か細い肩を震わせた。抱きしめたい衝動に駆られて、ぐっとローは我慢する。
は顔を上げ、「じゃあ爆弾持ち歩かないとダメかな?」と言い出した。
「待て待て待て」
「ウニなら作れるから、持ち運びに便利なやつをいっぱい作ってもらう」
「絶対ダメだ。うっかり引火したらどうすんだ」
「……花火になっちゃう?」
そうだ、と頷き、ローは「そうならない方法を教えるから」とベポを呼んだ。