第8章 セブタン島
「いいか、これ以上絶対にあの娘に関わるな。中途半端に手を出したところで何も解決しやしねぇ」
もっともらしく言いながら、ことを荒立てたくないだけなのだとは自覚があった。
今はまだ、奴と対立するわけにはいかない。奴らは楯突く人間を決して許さない。
「キャプテン……?」
不安そうなの手を握りしめて、見知らぬ誰かを見殺しにしたって彼女だけは守ろうと誓う。
ヒューマンショップを案内する看板に描かれていたのは、あのドフラミンゴファミリーのシンボルだった。
55.最後に勝つのは
「ベポベポ、人の蹴り方教えて」
「いいよ!」
翌日。今日は船にいろと言い含めたところ、は特に不満がる様子もなく、甲板でベポと格闘技に夢中だ。
ほかのクルーは昨日船番だったゴンザを連れて、また海に遊びに行っている。シャチとペンギンは「ボートレースで一攫千金!」などと言っていたが、たぶん借金を増やして帰ってくるだろう。
「そのまま足伸ばして……アイアイ! こうだよ」
「アイアイ! ……こう?」
「ブン! じゃなくてシュッ!って感じ」
「シュ……?」
ベポは師範に向いていないなと見守りながらも、ローの頭は昨日見たシンボルのことでいっぱいだった。
(グランドラインに入ってから、奴の痕跡を見るのは初めてだな。誰か常駐してやがるのか? 幹部はともかく……ベビー5やバッファローもいい加減、単独で仕事を任せられる年だろ)
島に蔓延しているという麻薬も、奴らの仕業なのだろうか――。
考えるとキリがなく、どうしても行って確認したい気持ちに駆られる。
「キャプテン、なんだかピリピリしてる?」
休憩を取ることにしたらしいに声をかけられ、ローは肩をすくめた。
「は? ムカつく奴を蹴り飛ばせるようになれそうか?」
「うーん……私はあんまり優秀な弟子じゃないみたい」