第8章 セブタン島
「本当はどうしたの、これ?」
「店で請求書払いにしてもらいました。あなた宛に届くはずですからちゃんと払ってくださいよ」
「ならみんな! 私のおごりよ! 好きに食べて!」
すでに食べ始めていたものの、ロッティのきっぷの良さにハートの海賊団のクルーたちは「おー!」と歓声を上げた。
54.親が子供を売る島
「楽しかったー。またしたいね、バーベキュー」
「うん」
ビーチからの帰り道、アイスを食べながら上機嫌で言うに、同じく上機嫌でアイスを食べるウニがうなずく。
「非常食は残ってるしな」
「だから俺を見ないでよキャプテン!」
満腹になるまで食べて、たぷたぷと揺れる腹を隠してベポはわめき、みんなは笑った。
「なかなかベポのダイエット、成功しないね」
手をつないぐシロクマのお腹を撫でながら、は何かいい方法はないかと思案顔だ。
「おいしいものがありすぎるのがいけないんだよー!」
「……なにげに名言だな」
ペンギンのつぶやきに、ベポはえへんと胸を張った。腹のボタンがはじけ飛んで転がっていく。
「……ベポの肉がおいしいものに入る日も近いかな」
能面みたいな顔をしている船長を見て、ご愁傷さまとばかりにシャチがボタンを追いかけるベポを見てつぶやく。
「お、俺、おいしくないよ!」
「そこはペンギンの腕の見せ所だろ」
「そうだなー、脂は多そうだから網焼きして、それこそバーベキューなんかいいかも」
「わーん!」
ベポはに泣きついた。急いでアイスを食べきって、はアイスの冷たさにぶるりと体を震わせるとベポをかばって両手を腰に当てた。
「みんな、ベポをいじめないで」
「いじめてない。おいしく食べようって話だろ」
「そうそう。だってバーベキューまたしたいって言っただろ」
「言ったけど、言ったけど……っ」
泣きついてくるベポをなだめて、は「ベポは食べちゃダメ!」と力説した。