第8章 セブタン島
51.白浜のビーチ
「海だー!」
白い砂浜とエメラルドグリーンのビーチに歓声をあげるシャチたちに、は首を傾げる。
「海なら毎日見てるのに?」
「ビーチは別物だよ、ちゃん」
ちっちっとマリオンが指を振る。あいにくには見えていないが。
「そうなの?」
「すごく綺麗だよ。にも見せたい」
生まれて初めてビーチを見るウニも興奮気味だ。
ビーチがある島の表側は真新しい建物が整備されて、いかにも観光地といった風情だった。
来ている客も金持ちや政府の役人らしき人間が多い。
「げ。世界貴族っぽいのまでいますね」
「面倒はごめんだな。なるべく人のいないところまで移動するぞ」
「えー、お店から離れちゃうよ!」
「どうせ観光地値段だろ。借金持ちが食い倒れるのは無理だ。そのためにバーベキュー持ってきたんだから我慢しろ」
「肉は少し足りないしなー、ベポの腹の肉とか提供してくれよ」
ペンギンが笑って脅かすと、ベポはさっとお腹を隠し、「お、俺おいしくないよ!」と逃げた。
「ベポは食べちゃダメ!」
両手を広げてがかばい、ベポはその後ろに隠れる。ローは笑った。
「うちで一番最初にベポを食べるのはだろ」
「そんなことしないよ!」
「そうか? 意外と美味しいってなら言いそうだけどな」
「そんなこと――」
ふと、不安そうには船長をうかがった。
「私に内緒でベポのお肉食べさせたりしないよね?」
吹き出すのをローはこらえた。
「俺はしねぇが、料理長はどうだろうな?」
「俺もしないよ。船長が内緒でベポの腹の贅肉取ってきたりしなきゃね」
ベポのお腹をかばい、は妙案を思いついて提案した。
「ベポ! 痩せればお肉ちょうだいなんて言われないよ!」
「わかった、痩せる!」
奮起してベポは拳を握る。
「ちょっと食材足りないのは事実だし、お前ら泳ぐついでに魚でも取ってきてくれよ」
料理長からの提案に、が重ねて頼む。
「みんなお願い! ベポのお腹のお肉を守るためだよ!」
「ちゃんの頼みなら聞くけど……ベポの贅肉って守る価値ある?」