第8章 セブタン島
「……あれでも本当にと船長さんは付き合ってないの?」
「ない!!」
「うちは恋愛禁止だ。あれはスキンシップ!」
ウニの素朴な疑問を、マリオンとシャチが全力で否定する。
「スキンシップ……」
じゃあ僕もやりたいと正直な顔をするウニに、ペンギンが「いやあれベポ限定だからな」と言い聞かせた。
「船長さんは?」
「あれは権力を笠に着たセクハラ。ムカつくからみんなで海に放り込もうな」
「……聞こえてるぞ」
相変わらずを独り占めしながら、ローは低い声で言う。
「こんなチャンスを見逃すと思ってるんスか! 普段は警戒して海に近づかない船長に復讐できる機会なんてめったにないんだから!」
「そーだそーだ、みんなでやれば怖くない!」
一度バラバラにされた恨みのあるマリオンがペンギンに同調した。
「キャプテン、みんなにいじめられちゃうの?」
自分のせいかと、は不安そうな顔をする。
「まさか。全員でかかってこようと俺が負けるわけないだろ」
感じ悪く笑い飛ばして、ローは挑発とばかりにの額にキスした。
「あー!!」
「セクハラでしょそれ!」
つーんと船長はクルーの訴えを無視した。
「別に嫌じゃねぇだろ、」
「う、うん……でもドキドキしちゃうから、できればやめてほしい」
「さあ、聞こえねぇな」
すっとぼけて、ローはの目尻や頬にキスを繰り返した。
「刃物! 刃物は!? これは刺しても許されるはず!」
「キャプテンでも許せないことがこの世にはあるんですよ!」
マリオンとシャチは血涙を流して鬼のような形相をしていた。
「ベ、ベポ! ベポ……っ」
助けを求めて、は唯一セクハラにならないシロクマに抱きついた。
「た、助けて……」
「なに逃げてんだ。離すなって言ったのだろ」
能力で入れ替えて、わざとらしくローはを抱きしめる。硬直しているが可愛くて、危うく唇にまでキスするところだった。
「ビーチに行く用意しなきゃ!」
真っ赤な顔では船長を押し離し、急いで女子部屋へと駆けていく。