第8章 セブタン島
「頑張れベポ! スペアリブにされちゃうよ!」
悲鳴を上げてベポは逆さ吊りの体勢から必死に腹筋運動をし始める。しかし腹の贅肉がたたって、8回でヘロヘロになった。
「頑張ってベポ!」
「もう無理ーっ」
クルーたちに停泊の用意をさせ、停泊料の交渉をしながら、船長はアルゴールに冷たく尋ねた。
「この島で豚肉はいくらで売れる?」
キャプテンは本気だと察して、そこからベポは奮起した。無理と言ってから20回もできたということは、普段はやっぱり自分に甘すぎるのだ。際限なく甘やかすのせいもありそうで、下ろしてもらったもののぐったりとするベポに、ローは無情に言いつけた。
「今後は朝昼晩、毎日腹筋30回だ。終わるまでは飯抜きだからな」
「俺お腹すいて死んじゃうよー!」
「死んだら診てやるから苦情はその後に言え」
「キャプテン、死んじゃったら苦情も言えないと思うの……」
が控えめに主張したが、「飯が多少遅れたくらいで肥えた豚が死ぬなんて俺の医学書には載ってない」とローは押し切った。
49.正夢の行方
裏街の雰囲気はアレとはいえ、せっかく美しいビーチがあるのだからバカンスを楽しまない手はない。
あいにく見張り当番で船番になってしまったゴンザを除いて、ハートの海賊団のクルーたちはわいわいと遊びに行く支度をした。
「……どうした、」
普段なら真っ先に上陸に手を挙げるソナーが、浮かない顔で出かける支度もしていないのに気づいて船長は声をかけた。
はベポの代わりにお気に入りのもこもこクッションを抱きしめ、うつむいて言った。
「私……ゴンザと船にいる」
「えー! 競争しないの!?」
一緒に泳ぐのを楽しみにしていたベポが悲鳴を上げた。
は一瞬ものすごく行きたそうな顔をしたものの、首を振って「ベポごめんね」と言い出した。
今日だけ体調不良と言うより、滞在の間、船から降りる気がないみたいだった。
「あんなババアの言ったことなんか気にするな」
甲板に座り込んでいるにローはしゃがみこんで言い聞かせたが、は首を振るばかりだった。
「……ふうん? せっかくウニもいるからビーチでバーベキューでもと思ったが食べたくないのか」
「う……」