第7章 吸血ネズミ
ついばむようにキスを繰り返すと、の細い指がローの髪を梳きあげる。
息のかかるような至近距離では笑った。
「帽子は? って言わないんだね」
「普段は必須なんだよ。……に触られるとキスしたくなるから」
こんな風に、と言わんばかりにローは濃厚なキスを繰り返した。
それに合わせてゆるゆると腰を振ると、ダメだよ、とはローを制止した。
「あんまり激しくすると、船が揺れちゃう」
「誰も起きねぇよ。みんな酔っ払って寝てるからな」
でもゆっくりじっくりするのも魅力的で、ローはつながったままを抱えてベッドに座った。
「これ好き。心臓の音が聞こえる……」
ローの胸に耳をくっつけて、は上機嫌だ。
「……俺が死にかけた時、泣いたか?」
「泣いてないよ。そんなこと、思いつく余裕もなかった……」
しんみりと言うを抱きしめ、ローは「生きてるだろ」と言い聞かせた。
「を殴った人形遣いは、いずれバラバラに解体してやる」
「そんなのいいよ。別に望んでない」
「が望まなくてもやる。絶対だ」
腫れの引いたの頬に触れて、ローは誓うように低く言った。その手に自分の手を重ねて、は頭をすり寄せる。
キスしてローはを押し倒した。
「ぁ……んっ」
「、手を噛むなって」
「だってみんなに聞こえちゃう……」
涙まじりに訴えるの手をとって、ローはキスして彼女の口をふさいだ。呼吸ごと声を封じ込めて腰を振ると、はきゅうきゅうとローを締め付けた。
「苦しいか?」
酸欠一歩手前のは首を振って、「もっと」とせがむ。