第7章 吸血ネズミ
「……行かないで」
理性はもたなかった。どんなに駄目だって思ってももう効果はなく、を抱きしめてローは荒々しく口づける。
「……っ」
細い両腕がローの背中に回され、息もできないほど激しいキスを繰り返しながら、切れ目には「もっと」と求める。
に触れるほど、どんなにこうしたかったか――やっと望みが叶ったような気分で、でも満足には程遠く、服を脱がせ、白い肌に口づけても全然足りなくて。
「キャプテン……」
赤い花みたいな口を指で押さえてローは首を振る。
「今は船長でいたくない……」
これは最低の規律違反だから。でもシャチに刺されてもいいと思った。
「ロー……?」
たどたどしく名前を呼ばれるだけで心臓が跳ねる。
が可愛くて、愛しくて、止められなかった。
47.ネズミの特性*
初めて会った時から、その強い瞳に惹きつけられてならなかった。
「……痛くないか」
つながりながら尋ねると、彼女はちょっと驚き、微笑んで頷いた。
「そんなこと聞かれたの初めて……」
ささいな一言に胸をえぐられる。こんなに可愛くて大事で仕方ないのに、誰も自分と同じ気持ちにならなかったことが信じられなかった。