第7章 吸血ネズミ
眠くて仕方ないが起き上がる気配を見せないので、ローは部屋に運ぶべく彼女を抱き上げた。
「ううん……飲みすぎたかも」
結局あの後、シャチとペンギンが止めるのも聞かずにに続けて飲ませたのだ。海に落としたことを根に持っていて、全然言うことを聞かなかった。
「医者が必要なら言え」
「そんなのお酒のんだ意味がなくなっちゃう……」
ローに抱きついてはむにゃむにゃと言った。女子部屋の前まで運び、ローは「ほら、ベッドまであと十歩だろ」とを下ろした。
「んん、キャプテンおやすみ」
「おやすみ」
は一人で部屋に入ったが、ドアのすぐ向こうで崩れ落ちた音がした。
「? ! ちゃんとベッドまで行け」
扉をノックして船長は声をかける。しかし「大丈夫……」という声が床付近から返ってきただけだった。
「ああもう……」
仕方なくローは能力で、扉の先のを取り寄せた。
「あれ……?」
「やり直しだ。次はベッドまでちゃんと行けよ」
「もう無理……」
ここから動かないと、はローの首に抱きついて離れない。
「。駄々こねるな」
「いや」
「船長命令が聞けないってのか?」
「私は船長の命の恩人だもん」
「言うこと聞かねぇならキスするぞ」
「いいよ」
酔った顔を上げて、はにっこり笑う。怯んだローの負けだった。
(たちの悪さは相変わらずか……)