第7章 吸血ネズミ
ベポが寄ってきて、「キャプテンそろそろ代わって」と言い出した。
「俺もに膝枕されたい」
「……嫌だ」
ぷいっとベポに背中を向けて、ローは大人げなく拒否する。
「えー!」
「ベポは今度ね」
ベポの毛皮を撫でながらはなだめた。
「俺は?」
シャチが寄ってきて膝枕されたいと力説し、「俺も!」とペンギンも同調した。――ので、ローは二人を能力で真っ暗な海に入れ替えて落とした。
「ちょ! これはひどすぎません!?」
「あんた自分だけ棚に上げて!」
「さあな。酔って気分が悪いから何も聞こえない」
あわあわするベポの気配に、は「キャプテンちょっと大人げないよ」と叱った。
「…………」
しばし考え、ローは能力で二人分の浮き輪を投げる。そしてそれで十分だと言わんばかりにの膝の上でふて寝した。
「。……、ここで寝るな。部屋に行け」
ベポに抱きついて甲板で一緒に寝ていたを、ローは起こした。
宴は終わり、各自片付けをして部屋に戻った。甲板にいるのはもう、ベポとだけだ。
「キャプテンもう酔ってないの?」
「内緒だぞ。……実は能力で体から酒の成分を取り除ける」
「ええー、じゃあ酔ってたの振りだったの?」
「振りじゃない。酒飲む意味がなくなるから、なるべく自分には使いたくねぇんだよ」