第7章 吸血ネズミ
46.宴の終わり
冷たい感触に目を覚ますと、ローはの膝の上で寝ていた。
「大丈夫?」
白い指がローの頬に触れる。甲板ではまだ宴が続いていた。
額に乗せられた濡れタオルを確かめ、はー、とローは深く息を吐いて体の力を抜いた。
「……頭がガンガンする」
「飲み過ぎだね」
「は医者になれるな……」
明るい笑い声がして、はなだめるようにローの頭を撫でた。髪をわしゃわしゃと撫で回される。
「……俺の帽子は?」
「キャプテン寝るときも帽子かぶるの?」
はい、と手渡されローはの膝に頭を預けたまま帽子をかぶった。こうしないと直接に頭を撫でられてしまう。
「キャプテン起きた!? 飲もう!」
「飲みましょう、キャプテン!」
「うるせぇ」
宴は末期で、ペンギンとシャチはツナギを半分脱いで、裸踊りを始めている。脱いでこそいないが、ベポもそれに加わり、マリオンは酔いつぶれて寝ていた。ゴンザはせっせとゴミを片付け始め、ウニはウトウトしている。
「……言い忘れてたが」
「なあに?」
の手を握り、ささやく声でローは言った。
「命を助けてくれて、ありがとう」
「……キャプテンを助けたのはスイレンだよ」
私は何もできなかった、とは小さな声で言った。
「溺れそうな俺を助けてくれたろ。……ペンギンから聞いただけで、あまりよく覚えてはねぇんだが」
「私が泳ぐの得意でよかったね」
は船長の手を握り返した。
「キャプテンが生きてて、嬉しい……」